事後対策専門者は本質的に不真面目な怠け者: コミュニケーション有能への進化(14)

コミュニケーション有能への進化（１３）

事後対策専門者は本質的に不真面目な怠け者

  人間にとっての危険物の扱いには、法律に基づく免許制や資格制度がある。自動車の運転は、その典型的な例だ。
  しかし日本（あるいは世界）の現状で、重大な欠落事項が二つある。

  ひとつは、危険物が危険物であることへの課罪だ。それが法的にまったく無整備だ。だからつねに、かわいそうな事故が起きてから対策が事後的にとられるし、自動車事故のようにまったく対策がとられないケースも多い。
  電動回転ドアなどは、エレベータのドアみたいに、人が触れたら即座にぱっと、ドアが開く方向に急速に動かなければならない。それが、危険物を危険物でなくす重要な方策のひとつだ。
  自動車は、前方Ｘセンチメートルに物を関知したら無条件で急停車する、という機能を必須的に搭載しなければならない。この機能をＯＦＦにすることは不可能、という仕様にしなければならない。
  危険物を危険物でなくすことが事前的に義務づけられていない人類社会は、精神的にも、心的にも、そしてもちろんコミュニケーション的にも、粗放な社会だといえる。

  もうひとつの重大な欠落は、物ではなく人間が危険物と化すことの事前防止だ。児童相談所や多くの日本の警察署のように、人間が危険物と化していてもそれに対して事実上無能、というヴォイド(void)な状況が今の日本では一般的だ。だいたいそもそも、親業なんて、誰にでもすぐ勤まるという業務ではない。会社の仕事などよりも１００倍も難しい。車の運転などより、何億倍も難しい。

  車の運転を免許制にするなら、親業はもっと厳しい資格制度にしなければならない。

  (ついでに、主婦/主夫業も、せめてそのための基礎的な社会人教育を義務化してほしい！。:)

  論理的には、法律で「親権」を云々するのなら、それと同比重またはもっと重い比重で「親義務」を明確化しなければならない。権利と義務は、つねに車の両輪でなければならない。この親権／親務の問題にかぎらず、今の日本社会は、人間が危険物と化すことに関して、まったくそれが放置されているといって過言ではない。犯罪のあとで、犯人を捕まえて処罰しても、それはもう遅い。警察も、「事件になってないから腰をあげない」という、馬鹿なナンセンスな態度を全廃すべきだ。事件が起きてからでは、遅いじゃないの！。そういう、今日的な社会業務のあり方のみっともなさに、そろそろ社会全体が気づくべきだ。
  なぜ、人間が危険物と化すことが、積極的に防止されないのか？。ここにも、今の社会の一般的な基調であるコミュニケーション・ロスの浸透がある。現代社会の、粗放性というものがある。

  地縁共同体、血縁共同体、宗教共同体などの力が虚無化している現代社会では、それに代わるものとして、あらゆる意味での、社会の緻密化が必要なのだ。それが、危険物を危険物でなくし、人間が危険物と化すことを防ぎ、寒風吹きすさぶような社会を、あたたかいホーミーな社会へ変えていく。
　赤ちゃんポストが悪いとはいいませんが、一病院が思いつきでやるのではなく、普遍的にすべての地域社会が持つべき制度・施設・人材組織として、子育てサポートだけでなく、老人福祉、病人福祉、動物愛護などカバー範囲の大きな『地域社会革新』が必要であります。病院は病院の能力のぶん、そこに協力すればよい。このままでは、はるばる北海道から九州熊本まで赤ちゃんを置きに行く人も現れるかもしれない。

  今は、時代そのものが危険な時代だ、という言い方ができる。そこに、人間の危険物化がはびこる温床がある、ともいえるのだ。共同体的平和と安定、が濃かった時代には、それらはほとんどなかった現象だ。

  今という時点は、全世界的に、旧共同体の虚無化から一般的抽象的社会へ、共同体の所属者から純粋個人へ、という過渡期であることが、とくに指導者層の脳内で、explicitに自覚化されていないのだ。みんな、自分はなにかの共同体（村）に所属しているといまだに錯覚している。そして、他共同体の者に対して冷たい。（とくに日本人は）一般的他者に対して、フレンドリーな態度をとれない。そこに、この蔓延している粗放の根本原因がある。

  さて、中東で戦争をおっぱじめたアメリカは、あそこらの宗教的共同体をすべて無化するまで、絶対的にがんばっていただきたい（意識的な女性たちを中心とするより良い社会構築の支援も含めて）。でなければ、19歳20歳21歳で死んでいく多くの兵士たちの死をけがすことになるだろう。日本にだって、比叡山焼き討ち（“宗教”から“近代社会”へ）という偉大な暴力行為が過去にあった。戦争をはじめなくても、あと２～３世代で自然に虚無化するのを待ってもよかったかもしれない…テロがなければ。

[宗教共同体とテロ]
  絶対者（神仏）は、人間が、外部不安・外部恐怖から作り出した概念であり、所与の実体（生と死など）ではない。したがって、ましてや人間が、その絶対者の代理や仲介などを名乗ることは、完全な欺瞞であり詐欺である。その意味で、すべての宗教は詐欺である。
  ではなぜ、人間はこの詐欺に大々的に依存してきたのか。それは、外部不安・他者不安を、まぼろしの外部支配（外部支配幻想・他者支配幻想）によって鎮めるためである。その意味で宗教依存は、音楽依存と並んでディスコミュニケーションの最大最高最強の精華である。言い換えると宗教は、鉄壁のディスコミュニケーションである。
  それを今、トレードとそのグローバライゼーションという「２１世紀のグローバル織田信長」が、溶解しにかかっている。宗教を軸とするローカル権力が、テロを駆使してまでそれに対抗しようとするのも当然である。なぜなら、グローバライゼーションは彼らにとって、まさしくアルマゲドン（最終戦争）だから。