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[TOC] 2004 Nov. コミュニケーション有能への進化（１８）婚姻と家族のアナクロニズム婚姻と、それから生成される家族は、共同体の制度の一環であり、共同体性が無力化していく現代社会ではそれは、伝統的共同体の最後の残滓である。その残滓は、本体を他の動物に食われてしまった蛸の、足先の切れ端が海中でふらふら浮遊して生きているようなもので、その機能不全のプラナリアのような生命体はつねに危機にさらされている。それが現代社会の、婚姻や家族をめぐる危機、問題、諸症状の本質である。 換言すれば、結婚、家族、結婚の幸福、家族の幸福などの概念は、今では無理な妄想ないし幻想として、しかししゃにむに、しがみつかれている。溺れる者、残滓をつかむ、の光景だ。 私は若年時より、結婚には罪悪感を抱いている。なぜならそれは、特定男女が排他的・閉鎖的な関係を築くことだからだ。それは、私が展望するコミュニケーション化社会の原則と、真っ向から反する生活形式だ。「俺の（私の）女だ（男だ）」という言い方に現れている、性をベースとする排他性は、人類の原始性の残滓である。 しかしもちろん、全人的コミュニケーション化社会における性的非固着と非閉鎖性とは、どこかの国の一党独裁政権が運営する施設や制度の上に成り立つものではない。あくまでもそれは、コミュニケーションの上に成り立ち、運用されるものである（[参考記事]）。 経済と文化のグローバル化の嵐が本格的に吹き荒れる前夜とも言える現代は、不幸なことに、伝統的共同体性と、全社会的コミュニケーションの双方がともに、空気が希薄であり、温度が低い。両方が、相当に無力である。その点に今日の社会の不安や不幸の根本原因がある。 私たちは、個として、孤独者として、宇宙空間に放り出されてしまったが、まだそこでの新しい協同的な生活環境づくりに成功していないのだ。コンピュータとネットワークが、そのための重要な道具であることは、今すでに明らかであるが…。 （この稿未完） [TOC] |02/10月のエッセイ| |02/11月のエッセイ| |02/12月のエッセイ| |03/1月のエッセイ| |03/3月のエッセイ| |03/4月のエッセイ| |03/5月のエッセイ| |03/6月のエッセイ| |03/7月のエッセイ| |03/8月のエッセイ| |03/9月のエッセイ| |03/10月のエッセイ| |03/11月のエッセイ| |03/12月のエッセイ| |04/1月のエッセイ| |04/2月の？？？？| |04/3月のエッセイ| |04/4月のエッセイ| |04/5月のエッセイ| |04/7月のエッセイ| |04/9月のエッセイ| |04/10月のエッセイ| |