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[TOC] 2006 May コミュニケーション有能への進化（３４）あとから襲来する他者山本太郎長崎大教授（国際保健学）の話 （前略）ウイルスは環境破壊などで生態系が乱れると、自身が生き残りを図ろうとして、本来の宿主から人間に感染するケースが出てくる。（南アにおけるアレナウィルスに関する毎日jp2008/11/01の記事より） 人類の非常に長年の伝統的資質であるコミュニケーション不能においては、他者はつねにあとから襲来する。他者の存在は、つねに、その時点では明示的に想定ないし意識化されていない。なにしろ、各時点の行為の多くが、単純にやりたいことをやるのモンキーグリップ(monkey grip)だ。そう、今後の“コミュニケーション有能”人種から見ると、今の人類は、まあ、一種の、視野の狭い、がっついた猿である。しかもその多くは、トレード強迫がもたらすがっつき(greed)だ。 ほとんどの場合に他者は、行為のその時点で正当に意識化され対応されていなかったことへの、まるで“復讐”のように、あとから、恐ろしいしぶとい不幸として人類社会やその環境に襲来する。他者はいわば、私たちの初期状態としての他者忘却によって生命を涸渇し渇死し、まるでその目に見えない亡霊のように、人類にもたらされる不幸という姿形（すがたかたち）をとって私たちに襲いかかる。 このところ（２００６年４月末〜５月初頭）、山菜採取に出かけて熊に襲われる人が多い。それは、出かけるとき、山菜という春の自然の食資源をめぐっては熊という他者…自分以外の生物…がいることが、最初の時点で明確に意識化されていないことへの、いわば復讐だ。トレードが通用しない熊さんには、山中で出会ったとき、襲われないためにどういう態度をとるべきだろう？。…やはり、山菜は（たぶん冬眠から覚めて腹がへっている）熊に譲ってやる、人間は山に出かけない、その地域の人間は山菜採取をあきらめる、が唯一の正解では？。 いわゆる狭義の公害（産業公害や開発公害…健康被害、環境破壊、これまでなかった恐ろしいウィルス病など）も、あとから襲ってくる他者の典型的な分かりやすい例だ。だが実際にそれは、熊や公害、新しい疾病のような物理的で分かりやすいものばかりではない※。精神的なもののほうがよほど深刻である、と私は感じる。 〔※：今日までの能天気な“宇宙開発”がもたらす、“あとから襲来する他者”については、残念ながら今現在の私たちはまったく無知である。それは、現時点では想像もできない、これまでのどんなＳＦホラー映画にも描けなかった、オソロシイものである可能性もある。やめろー！、宇宙に大量の粗大ごみを放置するのは！。〕 たとえば犯罪はどうだろう？。ちょっと考えてみていただきたい。私たちは未だに、本当の意味の“防犯”活動は、いっさいやっていないのではないか？。やる気がないのではないか？。むしろ、襲来する他者としての犯罪を今後も無限に再生産していくような、他者忘却の生活態度や生活哲学や生活制度を、日々えんえんと維持しつづけているのではないか？。 犯罪〜犯罪者の発生は、教育が真の目的（社会全体としての人間教育）を完全無視していたことへの復讐、つまり教育の失敗の結果として、まったくうんざりするほど頻繁に襲ってくる！。ほんまに毎日毎日、警察が忙しくなるようなことばっかし次々と起きて、退屈だよー！。そろそろ、みんな、これ（こんな状態）をなんとかしようと思おうよーー！。 でもしかし、犯罪の発生にそういう根本的な理由と原因があるのなら、公害のない社会や地球環境を築き維持することが可能であるのと同じく、私たちは犯罪のない社会を築き維持することが可能なのではないか？。 いやいや、さきに“物理的”と分類した諸行為もまた、えんえんと犯罪を再生産しつつづけるような私たちの基本的な生活態度、生活哲学の、ひとつの現れにすぎないと見るのが妥当だろう。つまりそれらはすべて、「最初における他者忘却」として、ひとくくりにすることができる。がっついてひたすら突っ走る、単線的なベクトルが、あたりいちめんに、忘れられた他者をばらまいていく、放置していく。 （中略） コミュニケーション有能をめざす、私たちの精神態度の日常形は、これまでの人類史をつらぬいてきた単線的なペニス型（ファロス型）ではなく※、ひろく受け入れ、ひろく感受することのできるヴァジャイナ型（ヨニ型）へと変わっていく必要がある。 〔※：必ずしもそれは、トレードと戦争というシャム双生児神を守護崇拝してきた男性主導、オトコ社会の、という意味ではない…言い換えるとこの基本形の保有主に関しては、生物学的なジェンダーの別を問わない。オンナにだって、広い包容性や感受性を欠くオトコ型のオンナってなんぼでもおるけんね。〕 [TOC] |02/10月のエッセイ| |02/11月のエッセイ| |02/12月のエッセイ| |03/1月のエッセイ| |03/3月のエッセイ| |03/4月のエッセイ| |03/5月のエッセイ| |03/6月のエッセイ| |03/7月のエッセイ| |03/8月のエッセイ| |03/9月のエッセイ| |03/10月のエッセイ| |03/11月のエッセイ| |03/12月のエッセイ| |04/1月のエッセイ| |04/2月の？？？？| |04/3月のエッセイ| |04/4月のエッセイ| |04/5月のエッセイ| |04/7月のエッセイ| |04/9月のエッセイ| |04/10月のエッセイ| |04/11月のエッセイ| |05/2月のエッセイ| |05/3月のエッセイ| |05/4月のエッセイ| |05/5月のエッセイ| |05/6月のエッセイ| |05/7月のエッセイ| |05/8月のエッセイ| |05/9月のエッセイ| |05/10月のエッセイ| |05/11月のエッセイ| |05/12月のエッセイ| |06/01月のエッセイ| |06/02月のエッセイ| |06/03月のエッセイ| |06/04月のエッセイ| |